01「良いボートを引けば有利」と言われるけれど
出走表には選手ごとに「モーター」と「ボート」、それぞれの2連率が並ぶ。「良いモーターに当たった」と同じように、「良いボートを引いた」という言い方も現場でよく聞く。
BOATCRAFTの検証ラボ#06では、モーター2連率について「40%超は強い」という通説を検証し、「統計的には有意だが、効果量で見るとごくわずか」という結論に達した。今回は、まったく同じ手法でボート2連率を検証する。
02まず、モーターの結論をおさらいする
検証ラボ#06(全国24会場・2018年以降・約200万エントリー)の結果を、原文の数値のまま引用する。
| 区分 | N | 1着率 |
|---|---|---|
| モーター2連率 35-40% | 426,653 | 17.40% |
| モーター2連率 40-45% | 238,887 | 18.69% |
差は+1.29pt(z=13.18、p<0.0001)。統計的には「偶然ではない」と言えるが、効果量Cohen's hは0.034で、「小さい効果」の目安ライン(0.20)の1/6程度。検証ラボ#06はこれを「神話寄りの部分的真実」と評価した。
03同じ物差しで、ボートを測る
ボート2連率についても、モーターとまったく同じ条件(全国24場・2018年以降・5%刻み階層・結果指標は1着率)で集計し直した。
| 区分 | N | 1着率 |
|---|---|---|
| ボート2連率 <30% | 685,357 | 16.648% |
| ボート2連率 30-35% | 615,591 | 16.755% |
| ボート2連率 35-40% | 479,686 | 17.239% |
| ボート2連率 40-45% | 231,258 | 17.323% |
| ボート2連率 45-50% | 67,596 | 17.073% |
| ボート2連率 50-60% | 49,341 | 17.128% |
| ボート2連率 60%以上 | 17,688 | 17.385% |
35-40%→40-45%の差は+0.084pt。効果量Cohen's hは0.0022。<30%から60%以上まで全区間で見ても、1着率は16.648%→17.385%と+0.737pt動くだけで、Cohen's hは0.0196にとどまる。
04モーターと並べてみると
| 指標 | 35-40%→40-45%の差 | Cohen's h |
|---|---|---|
| モーター2連率(検証ラボ#06) | +1.29pt | 0.034 |
| ボート2連率(本記事) | +0.084pt | 0.0022 |
ボートはその1/15。事実上、差がないに等しい水準
モーター2連率は「統計的に有意だが実用上はほぼ無視できる」という評価だった。ボート2連率は、それよりもさらに一桁小さい。「良いボートを引けば有利」を裏付ける材料は、この集計からはほぼ見当たらない。
05なぜここまで差が小さいのか
断定できる理由は手元にないが、考えられる背景はある。競艇のボート(艇体)は抽選で選手に割り当てられる備品で、モーターと同様に選手が選べない点は共通している。ただしボートは定期的に整備・入れ替えが行われ、機体差そのものがモーター以上に小さく設計されている可能性がある。あくまで仮説であり、この集計だけでは検証できない。
06じゃあ、何を見ればいいのか
今回とlab-06の結果を踏まえると、「モーターやボートの数字が高いから」という理由だけで評価を大きく動かす根拠は薄い。競艇で効果量がはっきり大きいと確認されているのは、むしろコース(艇番・進入コース)のような構造的な要因だ。BOATCRAFTでもモーター・ボートのつまみは「参考情報の一つ」として扱い、コースや選手の実績値と合わせて見るのが実態に近い使い方といえる。
データに関する注記
- 集計対象は全国24会場・2018年以降(検証ラボ#06と同じ基準期間)
- 結果指標は1着率。ボート2連率・モーター2連率とも5%刻みで階層化
- 本記事は傾向の解説であり、個別レースの的中や利益を保証するものではない
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- 検証ラボ #06 ─ モーター2連率40%神話を検証する(本記事が手法を踏襲した元記事)
- コース別 名手ランキング(効果量が大きい構造的要因)
結論
- ボート2連率35-40%→40-45%の1着率差は+0.084pt、Cohen's h=0.0022
- 検証ラボ#06のモーター2連率(+1.29pt・h=0.034)と比べても、さらに1/15の小ささ
- 全区間(<30%〜60%以上)で見ても差は+0.737pt・h=0.0196にとどまる
- 「良いボートを引けば有利」を裏付ける材料は、この集計からはほぼ見当たらない