結論 ── 前の期にA1だった件のうち、半年後もA1だったのは77.45%。ただしA1歴1期は51.28%、3期以上は88.36%で、実態は二つに割れる。
主要数値 ── A1の半年後維持率 77.45%(11,920/15,390) / A1歴1期 51.28%(1,796/3,502) / A1歴3期以上 88.36%(8,908/10,082)
対象 ── 選手の期別成績テーブル 76,684件(1件=1選手1期・実人数2,868選手)
期間 ── 2001年5月〜2026年4月の50期のうち、データベースに収録されている49期(級別は6か月ごとの審査で改定。2002年後期の1期だけ収録が無い)
母数 ── 前の期がA1=15,390件(実人数1,053選手・1人あたり平均14.6件) / 3期前がA1=15,298件
定義 ── 「維持」=前の期の級別も今の期の級別もA1であること。復帰率の対照群は「前の期がA2で、その前の2期がA1でなかった件」
除外 ── デビュー期(前の期が存在しない505件)は集計対象外
最終確認日 ── 2026年8月30日
限界 ── 同じ選手が何度も現れるため、信頼区間は選手単位のばらつきを織り込んで広げてある。引退・登録抹消で名簿から消えた選手は分母から外れる(A1では0.20%と小さいことを実測で確認済み)
01A1は、一度なったら維持できるのか
維持できた件が77.45%、できなかった件が22.55%だ。級別は成績で決まる相対評価のランクで、6か月ごとの審査で入れ替わる(制度そのものは競艇の「級別」とは?にまとめてある)。この記事は制度の説明ではなく、その制度が実際にどう回っているかの実測である。
以下の割合はすべて「1選手の1期ぶん」を1件として数えた、のべの割合だ。前の期にA1だった15,390件のうち、次の期もA1だったのは11,920件で77.45%(95%信頼区間 76.0〜78.9%)。裏返せば22.55%、およそ4.4件に1件が半年でA1でなくなっている。
| 前の期がA1だった件の行き先 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| A1(維持) | 11,920 | 77.45% |
| A2 | 3,044 | 19.78% |
| B1 | 300 | 1.95% |
| B2 | 126 | 0.82% |
落ち先はほとんどがA2で、B1以下まで一気に落ちるのは合わせても3%に満たない。なお「引退した選手を数えていないから高く出るのでは」という疑いは、実測で潰してある。A1だった選手が次の期に名簿から消える割合は0.20%(30/14,804)しかない。
02落ちやすいのは、どんな選手か
A1を何期続けてきたかで、結果は真っ二つに割れる。前の期がA1だった15,390件を、その前の期・さらに前の期もA1だったかどうかで3つに分けた。
| A1歴 | 母数(件) | 半年後もA1 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|
| 1期(昇格直後) | 3,502 | 51.28% | 49.4〜53.2% |
| 2期 | 1,806 | 67.33% | 65.0〜69.7% |
| 3期以上 | 10,082 | 88.36% | 87.4〜89.3% |
昇格直後は、半年後もA1だった件が51.28%、A1でなくなった件が48.72%で、ほぼ半々だった。一方、3期以上A1を続けてきた選手は88.36%で、落ちにくい。差は約37ポイント(z=33.0)あり、3つの信頼区間は互いに重ならない。
この3群を件数で加重平均すると、ちょうど77.45%に戻る。全体の77.45%だけでは、A1を何期続けてきたかによる大きな差が見えなくなる。
ただし「落ちているのはなりたてだけ」ではない。半年で落ちた3,470件の内訳は、A1歴1期が1,706件(49.2%)、2期が590件(17.0%)、3期以上も1,174件(33.8%)ある。3期以上の選手は落ちる確率こそ11.64%と低いが、母数が10,082件と大きいため、実数では落ちた3件に1件を占める。高いのは確率であって、人数ではない。
だが落ちる確率は、A1歴の浅い側に大きく偏っている
034期(2年ぶん)続けてA1でいられるのは何割か
58.23%だ。4期連続、つまり2年ぶんA1であり続けた件は8,908件で、母数15,298に対して58.23%。逆に41.77%は、この2年ぶんの間にA1でなくなっている。
| 連続でA1だった期 | 母数(件) | 割合 |
|---|---|---|
| 2期連続 | 15,390 | 77.45% |
| 3期連続 | 15,339 | 66.00% |
| 4期連続(2年ぶん) | 15,298 | 58.23% |
前の段を通過した件だけを分母にすると、次の段を通る率は 77.45% → 85.16% → 88.36% と上がっていく。脱落は最初の半年に集中している。ただし、これが「続けるうちに落ちにくくなる」のか「もともと落ちない選手だけが残っている」のかは、この集計では区別できない。段ごとに必要な履歴の長さが違うため、分母となる集団も段ごとに入れ替わる(母数は最大0.60%ずれる)。
04A1から落ちたら、もう戻れないのか
半分近くは戻る。A1からA2に落ちた選手が、次の期にA1へ復帰した割合は47.61%(1,445/3,035)。前の期がA2で、その前の2期がA1でなかった選手がA1へ上がる割合13.92%(1,722/12,371)の3.42倍で、差は33.69ポイント(z=30.5)。降級はしばしば一時的なものだ。元A1のA2と、直近2期にA1歴がないA2は、異なる履歴を持つ集団として分けて見る必要がある。
05いちばん落ち着かない級はどこか
A2だ。前の期の級別ごとに、同じ級にとどまった割合を並べる。
| 前の期の級別 | 母数(件) | 同じ級を維持 |
|---|---|---|
| A1 | 15,390 | 77.45% |
| A2 | 15,406 | 54.15% |
| B1 | 36,470 | 83.23% |
| B2 | 8,913 | 65.66% |
A2は半分近くが半年で別の級へ移る。しかも上下は五分ではない。A2→B1(降級)24.20%に対し、A2→A1(昇級)は20.56%。降級のほうが3.64ポイント多く、同じ選手が何度も現れることを考慮しても、この差は誤差では説明できない(z=4.0)。
A1への昇級はA2からが中心だが、B1から直接A1へ上がった件も0.76%(278/36,470)あった。
06この数字は、昔から同じなのか
収録49期では、A1の人数は全体の20.00〜20.34%に収まっていた。一方、維持率の長期的な変化については、同じ選手が複数期に登場する影響を考慮した期別検定を行っていないため、本稿から変化の有無までは判断しない。なお、期ごとに区切った場合の維持率の母数は、1期あたり300件前後しかない。
その枠の中で、本データベースに収録された49期と、欠損1期を補う前級記録でA1を確認できた11選手がいる。江口晃生・松井繁・辻栄蔵・守田俊介・上平真二・徳増秀樹・白井英治・池田浩二・寺田祥・坪井康晴・菊地孝平。25年間ずっと登録が続いていた選手は503人で、そのうちの11人(2.19%)にあたる。データベースが2001年5月からなので、正確には「少なくとも25年間、一度もA1から落ちていない」。
データに関する注記
- 集計に使ったのは選手の期別成績テーブル1つだけで、着順・コース・モーターのデータは使っていない
- 集計方法は、各件が持つ「前の期の級別」と「今の期の級別」を突き合わせる行内比較。発行したのはSELECTのみ
- 割合はすべて「1選手1期」を1件とする、のべの割合。前の期がA1の15,390件は、実人数では1,053選手の繰り返し観測(1人あたり平均14.6件、最大49件)にあたる。同じ選手は毎期似た振る舞いをするため、信頼区間は選手を1つのまとまりとして計算し直した値を載せている(全体の維持率では、単純計算の±0.34ポイントに対し±0.73ポイント)
- 本文のz値と信頼区間は、同じ選手が複数の期に登場する影響を考慮し、選手を1つのまとまりとして復元抽出する選手単位ブートストラップ(4,000回・乱数シード固定)で計算し直した値。通常の独立標本用の計算より誤差を広めに見積もる方法だが、それでも本文の3つの差はいずれも95%信頼区間が0を含まない
- 「前の期の級別」列が本当に前の期の値かを、期の並びで自己照合して確認した(48組の隣接期のうち47組で一致率100.00%)
- 残る1組は、データベースに行が無い2002年後期をまたぐ組で一致率71.68%。これは「前の期の級別」列が収録の無い期の級別まで保持しているためで、行内比較のほうが取りこぼしが少ないことを示している
- 収録49期すべてA1だった11人については、行が無い2002年後期についても、翌期の行が持つ「前の期の級別」で11人全員がA1だったことを確認した
- 引退・登録抹消を含めて数え直しても、A1の半年後の陥落率は22.62%(3,349/14,804)で、行内比較との差は0.08ポイントしかない
- 本記事は傾向の解説であり、個別レースの的中や利益を保証するものではない
- 執筆は有田 光志。数値はすべてBOATCRAFTのデータベースへ直接SQLを発行して集計した(最終確認 2026年8月30日)
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結論
- 前の期にA1だった件が半年後もA1でいられた割合は77.45%(11,920/15,390件、収録49期)
- その平均は実態を隠している。A1歴1期は51.28%、3期以上は88.36%で、約37ポイントの差
- ただし落ちた3,470件のうち3期以上の選手も33.8%を占める。高いのは確率であって、人数ではない
- 4期(2年ぶん)続けてA1だったのは58.23%。脱落は最初の半年に集中する
- A2に落ちた元A1の47.61%が次の期にA1へ戻る。直前の2期がA1でなかったA2(13.92%)の3.42倍