— この記事の要点 —

2022-2026 年の 1 号艇 249,865 走を再集計した結論:1 号艇の堅さは「級別」でほぼ決まる。1 号艇の 1 着率は級別で分けると A1:70.7% / A2:59.0% / B1:39.7% / B2:34.0% と、最大 36.7 ポイントの差がついた(統計的に確実、z=58.1・p<0.0001)。通説「A1 なら 70%」はほぼ的中。一方で B1 の 1 号艇は 4 割を切り、半分も勝てない。この級別の差は 2〜6 コースでも一貫して現れ(どのコースでも A1>A2>B1>B2、全 24 パターンで例外なし)、最も堅いのは A1 × 1 コース(70.7%)、最も来ないのは B2 × 6 コース(0.66%)。さらに同じ A1 の 1 号艇でも会場差は大きく、大村 76.9% 〜 戸田 61.2% と 15.7 ポイント開く(z=13.9・p<0.0001)。「1 号艇」という枠だけ見ても、堅さは測れない。

通説「A1 なら 1 コース 70%」── 級別とは何か

競艇(ボートレース)の選手は成績によって A1・A2・B1・B2 の 4 階級にランク分けされる(半年ごとに勝率・複勝率・事故率などで改定)。トップ約 20% が A1、下位が B2 で、級別はその選手の「現在の実力」を最も端的に表す指標だ。

そして競艇ファンの間でよく語られるのが 「A1 級が 1 号艇に入ったら 1 コースは 70% 堅い」という経験則。逆に「B1・B2 の 1 号艇は当てにならない」とも言われる。この通説は、データでどこまで正しいのか。1 号艇(boat number 1)の選手の級別ごとに、実際の 1 着率を出して検証する。

検証方法

  1. 期間:2022-01-01 〜 2026-07-08(直近・安定期のデータに限定。1 号艇の 1 着率は 1999 年の 22% 前後から段階的に上昇し、2018 年前後を境に 53〜55% 台で安定している。これは記録の欠損ではなく実際の構造変化とみられ、性質の異なる旧時代を混ぜないため直近の安定期のみを対象とした)
  2. 対象:全国 24 会場の 1 号艇 249,865 走(級別が記録されている全レース)。級別×コース分析では全 6 コース・全級別を対象
  3. 集計:選手の級別(A1/A2/B1/B2)ごとに、その艇が 1 着になった割合(1 着率)を算出。コース=艇番(1 号艇 = 1 コース近似、競艇は枠なり進入が大半)

結論①:「A1 なら 70%」は本当だった ── ただし A1 限定

まず核心から。1 号艇の選手を級別で分けると、1 着率はきれいに階段状に並んだ。

1 号艇の級別走数1 着率平均との差
A180,72270.68%+18.9pt
A267,77458.96%+7.2pt
B195,52139.74%−12.0pt
B25,84834.03%−17.7pt
全 1 号艇 平均249,86551.75%±0
1号艇の級別別1着率の棒グラフ。A1 70.7%、A2 59.0%、B1 39.7%、B2 34.0%
図:1号艇の級別別1着率(2022-26)。A1は70.7%で通説どおり、B1は39.7%まで落ち、級別で37ポイント差。
統計メモ:A1(n=80,722)とA2(n=67,774)の1着率差(70.68%→58.96%)は偶然では説明できない水準(z=47.3, p<0.0001)。A2とB1の差(58.96%→39.74%)も同様(z=76.6, p<0.0001)、B1とB2の差(39.74%→34.03%)も同様(z=8.7, p<0.0001)。4階級すべての境目が統計的に確実に異なることを2標本比率検定で確認した。

I.級別の差は、どのコースでも一貫している

この「級別効果」は 1 コースだけの話ではない。2〜6 コースまで含めて 級別 × コースの 1 着率をマトリクスにすると、どのコースでも例外なく A1>A2>B1>B2 の順序が保たれていた。

コースA1A2B1B2
1 コース70.759.039.734.0
2 コース21.016.49.78.4
3 コース19.414.98.37.6
4 コース15.911.87.04.2
5 コース10.67.03.81.8
6 コース6.83.41.70.7

※数値は 1 着率(%)。2022-2026 年・全国 24 会場。

級別×コース別の1着率ヒートマップ。左上のA1×1コースが70.7で最も堅い
図:級別×コース別の1着率(2022-26・%)。どのコースでもA1>A2>B1>B2。左上=A1の1コースが最も堅い。
統計メモ:コース2のA1(n=60,157, 21.02%)とB2(n=8,128, 8.39%)の差は z=27.0, p<0.0001。コース6のA1(n=56,223, 6.82%)とB2(n=34,076, 0.66%)の差はz=43.3, p<0.0001。全24セル(6コース×4級別)のうち、どのコースでもA1>A2>B1>B2の順序に例外は無い。級別効果はコースを問わず一貫して働く。

II.同じ A1 の 1 号艇でも、会場で 15.7 ポイント変わる

「A1 の 1 号艇 = 70%」も、あくまで全国平均。24 会場すべてで A1 × 1 号艇の 1 着率を集計すると、同じ A1 の 1 号艇でも 1 着率は大きくばらつく

会場走数A1×1号艇 1着率
大村3,70676.93%
徳山3,58176.12%
3,22275.29%
尼崎3,70073.95%
常滑3,74072.59%
下関3,53672.51%
住之江3,99172.21%
丸亀3,53571.97%
芦屋4,13571.51%
蒲郡3,52271.44%
福岡3,41471.15%
児島3,46571.14%
若松3,75171.07%
唐津3,25571.03%
宮島3,66670.98%
多摩川2,77970.60%
桐生3,33469.41%
びわこ3,21969.37%
浜名湖3,15269.32%
三国3,28169.03%
鳴門2,96263.71%
平和島2,73162.98%
江戸川2,04261.46%
戸田3,00361.24%

※A1級の選手が1号艇に乗ったレースのみを対象とした1着率。2022-2026年。

統計メモ:最高の大村(n=3,706, 76.93%)と最低の戸田(n=3,003, 61.24%)の差は偶然では説明できない水準(z=13.9, p<0.0001)。24会場中20会場は69〜77%のレンジに収まる一方、鳴門・平和島・江戸川・戸田の4会場だけが60%台前半に固まっており、この4場は他の20場と明確に違う水面性質を持つとみられる。

差は 大村と戸田で 15.7 ポイント。「A1 の 1 号艇」という同じ条件でも、会場のクセを重ねて初めて本当の堅さが見える。会場別の傾向は 24 会場ガイド に詳しい。

読み解き方 ── 「1 号艇だから」を「A1 の 1 号艇だから」に

  1. 1 号艇は「級別とセット」で見る:出走表で 1 号艇を見たら、まず級別を確認する。A1 なら通説どおりの堅さ(70.7%)だが、B1・B2 は 1 号艇でも安定感に乏しい(34〜40%)という前提でデータを読む必要がある
  2. B1・B2 の 1 号艇は 1 着率が半分以下:1 号艇の 1 着率が 4 割前後しかない以上、2〜6 号艇のいずれかが 1 着になる確率の方が高い計算になる。万舟(頭が外)の出やすさとも関係が深い
  3. 外枠でも級別差ははっきり出る:4・5 コースの A1(15.9% / 10.6%)は、同じコースの B2(4.2% / 1.8%)より明確に高い。外枠の 1 着率も、乗る選手の級別によって大きく変わる
  4. 会場のクセも重なる:同じ A1 の 1 号艇でも、大村・徳山・津はデータ上かなり高い水準にあり、江戸川・戸田では大きく下がる。級別 × コース × 会場の 3 点セットで初めて実態が見える
— 注意:これは確率の話 —
級別はあくまで「平均的な強さ」。A1 でも展示・スタート・モーターが悪ければ崩れるし、B1 でも条件が揃えば逃げ切る。本記事は「級別でこれだけ勝率が変わる」という構造の解説であって、個別レースの的中を保証するものではない。舟券は余裕資金の範囲で楽しむもの。

結論

  1. 「A1 なら 1 コース 70%」は本当 ── A1 の 1 号艇は 1 着率 70.7%。経験則が実データで裏付けられた。
  2. だが B1 の 1 号艇は 39.7% ── 同じ 1 号艇でも級別で 37 ポイント差(統計的に確実、z=58.1)。「1 号艇だから堅い」ではなく「A1 の 1 号艇だから堅い」。
  3. 級別の差はどのコースでも一貫 ── 1〜6 コースの全てで A1>A2>B1>B2、24 パターン全てで例外なし。最堅は A1×1 コース(70.7%)、最薄は B2×6 コース(0.66%)。
  4. 会場差も大きい ── 同じ A1 の 1 号艇でも大村 76.9% 〜 戸田 61.2% と 15.7 ポイント開く(z=13.9)。級別 × コース × 会場で見る。

データが言えること

  • 1号艇の1着率は級別でほぼ決まる(A1 70.7%〜B2 34.0%、z=58.1、p<0.0001)
  • 4階級すべての境目(A1/A2/B1/B2)が統計的に確実に異なる
  • 級別の順序(A1>A2>B1>B2)は全6コースで例外なく成立する
  • 会場差も大きく、A1の1号艇でも大村76.9%〜戸田61.2%まで開く(z=13.9)

言いすぎ注意

  • 級別はあくまで「平均的な強さ」。個別レースの展示・スタート・モーターで結果は変わる
  • コースは艇番で近似しており、前づけ等の実進入変更は反映していない
  • 2018年前後を境に1号艇の1着率が構造的に変化しているため、2022年以降のみを対象とした(長期トレンドの検証ではない)
  • 会場差の背景(水面の広さ・地形)は仮説段階で、直接検証はしていない
1 号艇という「枠」は、堅さを保証しない。
堅さを決めるのは、そこに乗る選手の 級別だ。

データに関する注記

検証データ:2022-01-01 〜 2026-07-08、1 号艇 249,865 走(BOATCRAFT データベース、全国 24 会場)/ 集計指標:級別(A1/A2/B1/B2)× コース × 会場別の 1 着率 / 統計検定:2 標本比率検定(z 検定)/ 初出:2026-06-05 / 再集計・深掘り:2026-07-09(統計検定・会場別クロス集計を追加、DB更新により数値を最新化)

「1 号艇だから」では、勝てない。

同じ 1 号艇でも、A1 なら 70%、B1 なら 39%。堅さを決めるのは枠ではなく級別だ。BOATCRAFT は 級別 × コース × 選手 × モーター × 展示 × 会場のクセ を統合し、各艇の確率を毎レース計算する。「1 号艇=本命」のような単純な思い込みに引っ張られず、23 つまみ で自分の狙い(本命重視 / 穴重視)に合わせてチューニングできる。

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