そもそも「万舟」とは ─ 5 レースに 1 回弱は出ている
万舟(まんしゅう)とは、3 連単の払戻金が 1 万円以上になったレースのこと。100 円が 1 万円になる、つまり 100 倍以上の高配当決着を指す競艇ファンの俗語だ。さらに高額配当は金額に応じて 「2 万舟(にまんしゅう)」「5 万舟」「10 万舟(じゅうまんしゅう)」のように "○万舟" と呼ぶのが通り相場で、特に 10 万円を超える特大配当を「超万舟」と呼ぶこともある(明確な定義はなく体感ベース)。10 万舟は全体の 約 0.4%(およそ 240 レースに 1 回)と、出れば伝説級だ。
「万舟なんてめったに出ない」と思われがちだが、データで見ると意外と身近だ。3 連単 97.6 万レースのうち、万舟(1 万円以上)になったのは 18.9% ──およそ 5 レースに 1 回弱は万舟が飛んでいる計算になる。
- 平均配当:7,596 円 ─ 意外と高い。だがこれは一部の超高額配当に引っ張られた数字
- 中央値:3,200 円 ─ 「ど真ん中のレース」は 3,200 円。平均(7,596 円)の半分以下。分布が右に長く伸びている(=たまに出る超高額が平均を吊り上げている)証拠
- 万舟率(1 万円以上):18.9% ─ 5 レースに 1 回弱
この「平均 > 中央値」のねじれこそ、万舟という"裾の長い当たり"が生む競艇の魅力であり、罠でもある。
検証方法
- 期間:2001-06-16 〜 2026-05-31(3 連単の払戻記録がある全期間)
- 対象:3 連単(3 連単 = 1・2・3 着を着順通りに当てる賭式)の確定払戻 975,653 レース
- 除外:返還・不成立などで出目が「1-2-3」形式(1〜6 号艇の 3 連単)にならないレコードは除外
- 集計:出目(1 着-2 着-3 着の艇番組合せ、全 120 通り)ごとに、出現回数・平均払戻・万舟率(1 万円以上の割合)・超万舟率(10 万円以上)を算出
ポイントは、これが 「予想が当たった人の配当」ではなく「実際に出た決着の配当」だという点。つまり "結果としてその出目がどれくらいの配当を生んだか" を、四半世紀分・約 98 万レースで丸ごと集計している。
結論①:万舟は「頭(1 着)が外」で生まれる
まず最も重要な発見から。1 着がどの艇かで、配当はほぼ決まる。出目を「1 着の艇番」で束ねて平均配当・万舟率を出すと、これ以上ないほどきれいな 単調増加が現れた。
| 1 着(頭) | レース数 | 平均配当 | 万舟率 (≥1万) | 超万舟率 (≥10万) | 最高配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 号艇 | 388,980 | 3,502 円 | 6.5% | 0.02% | 331,800 |
| 2 号艇 | 170,016 | 7,501 円 | 19.2% | 0.31% | 537,990 |
| 3 号艇 | 144,644 | 8,716 円 | 23.7% | 0.34% | 447,060 |
| 4 号艇 | 125,801 | 10,018 円 | 28.2% | 0.39% | 682,760 |
| 5 号艇 | 82,943 | 14,412 円 | 38.3% | 1.26% | 534,930 |
| 6 号艇 | 63,266 | 16,710 円 | 38.9% | 2.33% | 761,840 |
読み取れることは多い:
- 1 号艇頭は平均 3,502 円・万舟率 6.5% ─ イン逃げが決まると配当は安い。全 97.6 万レースの 40%(38.9 万レース)が 1 号艇頭で、ここが競艇の「堅い本線」。万舟になるのは 15 回に 1 回程度
- 6 号艇頭は平均 16,710 円・万舟率 38.9% ─ 1 号艇頭の 約 4.8 倍の平均配当。超万舟率(10 万円以上)は 2.33%、つまり 6 号艇が頭なら約 43 回に 1 回は 10 万舟(じゅうまんしゅう)が出る
- 2→3→4→5→6 号艇と、頭が外に行くほど一段ずつ配当が上がる ─ 例外のない単調増加。これは「外の艇が 1 着=それ自体が低確率=オッズが高い」という競艇の構造そのものを反映している
頭が外(5・6 号艇)に飛んだ瞬間、配当は別世界になる。
結論②:万舟製造機ランキング ─ 6-5 系の独占
では、120 通りの出目のうち 「平均配当が高い=万舟になりやすい出目」はどれか。出現 500 回以上に絞った平均配当ランキングがこれ。
| 順位 | 出目 | 出現 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 6-5-3 | 2,129 | 21,884 円 | 46.3% |
| 2 | 6-5-4 | 2,109 | 21,050 円 | 50.5% |
| 3 | 6-5-2 | 2,412 | 20,836 円 | 46.4% |
| 4 | 6-4-3 | 2,629 | 20,233 円 | 44.8% |
| 5 | 6-5-1 | 2,739 | 19,871 円 | 45.6% |
| 6 | 6-2-5 | 2,837 | 19,388 円 | 42.1% |
| 7 | 6-3-5 | 2,487 | 19,051 円 | 42.3% |
| 8 | 6-4-5 | 2,428 | 18,840 円 | 45.8% |
| 9 | 5-6-4 | 2,774 | 18,822 円 | 47.4% |
| 10 | 6-3-4 | 2,815 | 18,379 円 | 39.9% |
| 11 | 5-4-3 | 3,182 | 18,296 円 | 47.9% |
| 12 | 6-4-2 | 2,885 | 18,001 円 | 41.5% |
- トップ 12 のうち 9 つが「6 頭」、残り 3 つも「5 頭」 ─ 万舟製造機は 6 号艇か 5 号艇が頭と決まっている。1〜4 号艇頭の出目は、平均配当ランキングの上位には 1 つも入らない
- 王者は 6-5-4(平均 21,050 円・万舟率 50.5%) ─ この出目が出れば 2 回に 1 回は万舟。最も "夢のある" 出目だが、出現は 2,109 回(全体の 0.2%)と当然ながら稀
- 「6-5-x」が並ぶ ─ 1・2 着をともに最外の 6・5 号艇が占める展開は、競艇で最も起こりにくい=最も配当が跳ねる組合せ
ちなみに、この 25 年で出た 歴代最高配当は児島の「6-1-5」= 761,840 円(2022 年)。1 点 100 円が 76 万円になった計算だ。続く 2 位は徳山「4-5-2」= 682,760 円、3 位は三国「6-3-5」= 650,610 円と、上位はやはり「頭が外」のオンパレードになっている。
堅い出目ランキング ─ 最頻出 1-2-3 は平均 1,792 円
逆に「よく出るが安い出目」も見ておこう。出現回数トップ 12 は、見事に すべて 1 号艇か 2 号艇が頭だ。
| 順位 | 出目 | 出現回数 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1-2-3 | 42,652 | 1,792 円 | 1.1% |
| 2 | 1-2-4 | 33,844 | 2,090 円 | 2.0% |
| 3 | 1-3-2 | 32,759 | 2,344 円 | 2.3% |
| 4 | 1-3-4 | 28,422 | 2,343 円 | 2.8% |
| 5 | 1-2-5 | 25,185 | 2,825 円 | 4.0% |
| 6 | 1-4-2 | 25,081 | 2,826 円 | 4.0% |
| 7 | 1-3-5 | 21,685 | 2,919 円 | 4.3% |
| 8 | 1-4-3 | 21,498 | 3,111 円 | 4.4% |
| 9 | 1-2-6 | 20,763 | 3,487 円 | 5.9% |
| 10 | 2-1-3 | 19,023 | 3,945 円 | 6.7% |
| 11 | 1-3-6 | 17,443 | 3,776 円 | 7.3% |
| 12 | 2-1-4 | 16,933 | 4,467 円 | 9.2% |
- 最頻出は 1-2-3(42,652 回)で平均わずか 1,792 円 ─ 全レースの 4.4% がこの出目。だが配当は安く、買い方次第では トリガミ(払戻が賭け金を下回る)になりやすい。万舟率はたった 1.1%
- 上位 12 の頭はすべて 1 か 2 号艇 ─ 「堅い決着」とは結局「インから順当に決まる決着」。本命党が狙う領域だが、妙味(うまみ)は薄い
- 1-2-3 を 100 円で当てても 1,792 円 ─ 3 連単を何点も買えば、当たっても収支マイナスは珍しくない。堅い出目ほど「点数を絞る」覚悟が要る
「1 号艇が逃げても荒れる」── 2 着・3 着の外流し
「頭が外なら荒れる」は分かった。では 1 号艇が逃げ切った(=頭は堅い)レースの中では、配当はどう動くのか。1 号艇頭のレースを「2 着の艇番」で分けるとこうなる。
| 出目 | レース数 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|
| 1-2-x | 122,444 | 2,374 円 | 2.7% |
| 1-3-x | 100,309 | 2,717 円 | 3.7% |
| 1-4-x | 76,564 | 3,398 円 | 5.7% |
| 1-5-x | 51,013 | 5,271 円 | 12.3% |
| 1-6-x | 38,650 | 6,987 円 | 19.3% |
頭が同じ 1 号艇でも、2 着が外に動くだけで配当は 3 倍近くになる。1-2-x(平均 2,374 円・万舟率 2.7%)に対し、1-6-x は 平均 6,987 円・万舟率 19.3%。「1 号艇は強いが、2・3 着は荒れそう」というレースこそ、イン頭から 2・3 着を外(5・6 号艇)に流すのが中波乱を取る現実的な狙い目になる。
万舟を取りに行く現実的な戦略
以上のデータから、万舟(高配当)を狙うときの考え方を整理する。あくまで配当構造の話で、当たりやすさを保証するものではない点は最初に強調しておく。
- 本命党なら「1-2-3 系」── ただし点数を絞る:平均 1,792〜3,000 円台なので、3 連単を広く買うとトリガミ。頭・2 着を厚く、3 着だけ流すなど点数管理が前提
- 中波乱狙いなら「1 号艇頭 × 2・3 着を外流し」:1-5-x / 1-6-x は万舟率 12〜19%。イン逃げの堅さを取りつつ、2・3 着で配当を膨らませる現実的な折衷案
- 万舟一発狙いなら「頭を 5・6 号艇に置く」:6 号艇頭は万舟率 38.9%。ただし 6 号艇が頭になること自体が約 6.5%(63,266 / 97.6 万)の低確率。展示・スタート・選手・会場のクセで「外が出そうなレース」を絞り込めるかが勝負
- 会場選びも効く:そもそも荒れやすい会場(外有利・荒れ水面)では頭が外に飛ぶ確率自体が高い。万舟が出やすい競艇場 TOP 5 も合わせて読むと、「どの会場で・どの出目を狙うか」が立体的になる
結論
- 万舟は「頭が外」で生まれる ─ 1 号艇頭 3,502 円 → 6 号艇頭 16,710 円。例外のない単調増加で、配当の 8 割は「1 着が誰か」で説明できる。
- 万舟製造機トップは 6-5-4(万舟率 50.5%) ─ 上位は 6-5 系・5-6 系が独占。1〜4 号艇頭の出目は平均配当ランキングに 1 つも入らない。
- 最頻出 1-2-3 は平均 1,792 円 ─ 全体の 4.4% を占めるが、万舟率 1.1% でトリガミ常連。「よく出る出目」と「儲かる出目」は正反対。
- 1 号艇頭でも 2・3 着の外流しで荒れる ─ 1-6-x は万舟率 19.3%。中波乱は「イン頭 × 外流し」で取りに行ける。
- 歴代最高は児島 6-1-5 = 761,840 円 ─ 25 年・98 万レースの頂点もやはり「6 頭」だった。
だが「どの出目がいくら付くか」は、98 万レースが教えてくれる。
データに関する注記
- 対象は 2001-2026 年の 3 連単 975,653 レース(BOATCRAFT データベース、全国の確定払戻記録)。返還・不成立など出目が 3 連単形式にならないレコードは除外
- 「平均配当」は実際に出た決着の払戻金の平均であり、予想の的中率や回収率とは別物。出目の出現確率(=当たりやすさ)とオッズ(=配当)は表裏一体で、配当が高い出目ほど出にくい
- 全国 24 会場の合算値。会場ごとに「頭が外に飛ぶ確率」は大きく異なるため、会場別の傾向は 24 会場ガイド を参照
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検証データ:2001-06-16 〜 2026-05-31、3 連単 975,653 レースの確定払戻(BOATCRAFT データベース、全国 24 会場)/ 集計指標:出目別の出現回数・平均払戻・万舟率(1 万円以上)・超万舟率(10 万円以上)/ 最終更新:2026-05-31