そもそも「万舟」とは ─ 5 レースに 1 回弱は出ている
ボートレース(競艇)の万舟(まんしゅう)とは、3 連単の払戻金が 1 万円以上になったレースのこと。100 円が 1 万円になる、つまり 100 倍以上の高配当決着を指す競艇ファンの俗語だ。さらに高額配当は金額に応じて 「2 万舟(にまんしゅう)」「5 万舟」「10 万舟(じゅうまんしゅう)」のように "○万舟" と呼ぶのが通り相場で、特に 10 万円を超える特大配当を「超万舟」と呼ぶこともある(明確な定義はなく体感ベース)。10 万舟は全体の 約 0.44%(およそ 228 レースに 1 回)と、出れば伝説級だ。
「万舟なんてめったに出ない」と思われがちだが、データで見ると意外と身近だ。3 連単 109.6 万レースのうち、万舟(1 万円以上)になったのは 18.6% ──およそ 5 レースに 1 回弱は万舟が飛んでいる計算になる。
- 平均配当:7,559 円 ─ 意外と高い。だがこれは一部の超高額配当に引っ張られた数字
- 中央値:3,090 円 ─ 「ど真ん中のレース」は 3,090 円。平均(7,559 円)の半分以下。分布が右に長く伸びている(=たまに出る超高額が平均を吊り上げている)証拠
- 万舟率(1 万円以上):18.6% ─ 5 レースに 1 回弱
この「平均 > 中央値」のねじれこそ、万舟という"裾の長い当たり"が生む競艇の魅力であり、罠でもある。
検証方法
- 期間:2001-06-16 〜 2026-07-10(3 連単の払戻記録がある全期間)
- 対象:3 連単(3 連単 = 1・2・3 着を着順通りに当てる賭式)の確定払戻 1,096,231 レース
- 除外:返還・不成立などで出目が「1-2-3」形式(1〜6 号艇の 3 連単)にならないレコードは除外
- 集計:出目(1 着-2 着-3 着の艇番組合せ、全 120 通り)ごとに、出現回数・平均払戻・万舟率(1 万円以上の割合)・超万舟率(10 万円以上)を算出
ポイントは、これが 「予想が当たった人の配当」ではなく「実際に出た決着の配当」だという点。つまり "結果としてその出目がどれくらいの配当を生んだか" を、四半世紀分・約 110 万レースで丸ごと集計している。
結論①:万舟は「頭(1 着)が外」で生まれる
まず最も重要な発見から。1 着がどの艇かで、配当はほぼ決まる。出目を「1 着の艇番」で束ねて平均配当・万舟率を出すと、これ以上ないほどきれいな 単調増加が現れた。
| 1 着(頭) | レース数 | 平均配当 | 万舟率 (≥1万) | 超万舟率 (≥10万) | 最高配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 号艇 | 467,383 | 3,293 円 | 5.8% | 0.01% | 331,800 |
| 2 号艇 | 183,358 | 7,726 円 | 19.8% | 0.33% | 537,990 |
| 3 号艇 | 156,625 | 9,058 円 | 24.8% | 0.37% | 447,060 |
| 4 号艇 | 135,131 | 10,429 円 | 29.6% | 0.41% | 682,760 |
| 5 号艇 | 88,163 | 15,148 円 | 40.0% | 1.39% | 534,930 |
| 6 号艇 | 65,571 | 17,799 円 | 40.1% | 2.72% | 761,840 |
読み取れることは多い:
- 1 号艇頭は平均 3,293 円・万舟率 5.8% ─ イン逃げが決まると配当は安い。全 109.6 万レースの 43%(46.7 万レース)が 1 号艇頭で、競艇でもっとも多い決着パターン。万舟になるのは 17 回に 1 回程度
- 6 号艇頭は平均 17,799 円・万舟率 40.1% ─ 1 号艇頭の 約 5.4 倍の平均配当。超万舟率(10 万円以上)は 2.72%、つまり 6 号艇が頭なら約 37 回に 1 回は 10 万舟(じゅうまんしゅう)が出る
- 2→3→4→5→6 号艇と、頭が外に行くほど一段ずつ配当が上がる ─ 例外のない単調増加。これは「外の艇が 1 着=それ自体が低確率=オッズが高い」という競艇の構造そのものを反映している
頭が外(5・6 号艇)に飛んだ瞬間、配当は別世界になる。
結論②:万舟製造機ランキング ─ 6-5 系の独占
では、120 通りの出目のうち 「平均配当が高い=万舟になりやすい出目」はどれか。出現 500 回以上に絞った平均配当ランキングがこれ。
| 順位 | 出目 | 出現 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 6-5-3 | 2,183 | 23,566 円 | 47.3% |
| 2 | 6-5-2 | 2,485 | 22,464 円 | 47.6% |
| 3 | 6-5-4 | 2,187 | 22,345 円 | 51.6% |
| 4 | 6-4-3 | 2,680 | 21,306 円 | 45.6% |
| 5 | 6-5-1 | 2,841 | 21,027 円 | 46.8% |
| 6 | 6-2-5 | 2,908 | 20,888 円 | 43.1% |
| 7 | 6-3-5 | 2,566 | 20,816 円 | 43.6% |
| 8 | 6-4-5 | 2,515 | 20,292 円 | 47.4% |
| 9 | 5-6-4 | 2,916 | 19,902 円 | 49.1% |
| 10 | 5-4-3 | 3,354 | 19,460 円 | 49.8% |
| 11 | 6-3-4 | 2,896 | 19,278 円 | 41.0% |
| 12 | 6-4-2 | 2,979 | 19,272 円 | 42.7% |
- トップ 12 のうち 10 が「6 頭」、残り 2 つも「5 頭」 ─ 万舟製造機は 6 号艇か 5 号艇が頭と決まっている。1〜4 号艇頭の出目は、平均配当ランキングの上位には 1 つも入らない
- 王者は 6-5-4(平均 22,345 円・万舟率 51.6%) ─ この出目が出れば 2 回に 1 回は万舟。最も "夢のある" 出目だが、出現は 2,187 回(全体の 0.2%)と当然ながら稀
- 「6-5-x」が並ぶ ─ 1・2 着をともに最外の 6・5 号艇が占める展開は、競艇で最も起こりにくい=最も配当が跳ねる組合せ
ちなみに、この 25 年で出た 歴代最高配当は児島の「6-1-5」= 761,840 円(2022 年)。1 点 100 円が 76 万円になった計算だ。続く 2 位は徳山「4-5-2」= 682,760 円、3 位は三国「6-3-5」= 650,610 円と、上位はやはり「頭が外」のオンパレードになっている(この3件はR10-12を含む集計でも順位不変)。
堅い出目ランキング ─ 最頻出 1-2-3 は平均 1,609 円
逆に「よく出るが安い出目」も見ておこう。出現回数トップ 12 は、見事に すべて 1 号艇か 2 号艇が頭だ。
| 順位 | 出目 | 出現回数 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1-2-3 | 53,648 | 1,609 円 | 0.9% |
| 2 | 1-2-4 | 41,898 | 1,899 円 | 1.6% |
| 3 | 1-3-2 | 40,249 | 2,140 円 | 1.9% |
| 4 | 1-3-4 | 34,992 | 2,156 円 | 2.3% |
| 5 | 1-2-5 | 30,642 | 2,613 円 | 3.3% |
| 6 | 1-4-2 | 30,100 | 2,643 円 | 3.3% |
| 7 | 1-3-5 | 26,229 | 2,727 円 | 3.6% |
| 8 | 1-4-3 | 25,705 | 2,940 円 | 3.8% |
| 9 | 1-2-6 | 24,498 | 3,344 円 | 5.1% |
| 10 | 2-1-3 | 21,488 | 3,905 円 | 6.4% |
| 11 | 1-3-6 | 20,642 | 3,617 円 | 6.4% |
| 12 | 1-4-5 | 19,118 | 3,577 円 | 6.0% |
- 最頻出は 1-2-3(53,648 回)で平均わずか 1,609 円 ─ 全レースの 4.9% がこの出目。だが配当は安く、複数点への配分次第では トリガミ(払戻が賭け金を下回る)になりやすい。万舟率はたった 0.9%
- 上位 12 の頭はすべて 1 か 2 号艇 ─ 「堅い決着」とは結局「インから順当に決まる決着」。発生頻度は高いが、妙味(うまみ)は薄い
- 1-2-3 を 100 円で当てても 1,609 円 ─ 3 連単を何点にも分けると、当たっても収支マイナスは珍しくない。堅い出目ほど、複数点では収支が伸びにくい
「1 号艇が逃げても荒れる」── 2 着・3 着に見る外艇の入り方
「頭が外なら荒れる」は分かった。では 1 号艇が逃げ切った(=頭は堅い)レースの中では、配当はどう動くのか。1 号艇頭のレースを「2 着の艇番」で分けるとこうなる。
| 出目 | レース数 | 平均配当 | 万舟率 |
|---|---|---|---|
| 1-2-x | 150,686 | 2,176 円 | 2.3% |
| 1-3-x | 122,112 | 2,520 円 | 3.1% |
| 1-4-x | 91,389 | 3,223 円 | 4.9% |
| 1-5-x | 59,927 | 5,085 円 | 11.3% |
| 1-6-x | 43,269 | 7,026 円 | 19.7% |
頭が同じ 1 号艇でも、2 着が外に動くだけで配当は 3 倍以上になる。1-2-x(平均 2,176 円・万舟率 2.3%)に対し、1-6-x は 平均 7,026 円・万舟率 19.7%。1 号艇が堅く 1 着を守っても、2・3 着に外(5・6 号艇)が絡むレースほど中波乱の配当になりやすいことが、この内訳から読み取れる。
万舟(高配当)が出やすい出目の傾向
以上のデータから、万舟(高配当)につながりやすい出目のパターンを整理する。あくまで配当構造の話で、当たりやすさを保証するものではない点は最初に強調しておく。
- 「1-2-3 系」は平均 1,609〜3,000 円台の低配当ゾーン:出現数が最も多く決着としては最も堅い部類に入る一方、平均配当は全出目の中でも低水準にとどまる
- 1 号艇が頭でも、2・3 着に外(5・6 号艇)が絡むと配当は上がる:1-5-x / 1-6-x は万舟率 11〜20%。イン逃げの堅さと、2・3 着の荒れが同居するのが中波乱の出目の特徴
- 頭が 5・6 号艇のレースは万舟率が最も高い:6 号艇頭は万舟率 40.1%。ただし 6 号艇が頭になること自体は約 6.0%(65,571 / 109.6 万)の低確率で、展示・スタート・選手・会場のクセに外艇の 1 着がどれだけ表れやすいかで出目の傾向が変わる
- 会場によっても傾向が変わる:そもそも荒れやすい会場(外有利・荒れ水面)では頭が外に飛ぶ確率自体が高い。万舟が出やすい競艇場 TOP 5 も合わせて読むと、「どの会場でどの出目が出やすいか」が立体的に見えてくる
結論
- 万舟は「頭が外」で生まれる ─ 1 号艇頭 3,293 円 → 6 号艇頭 17,799 円。例外のない単調増加で、配当の 8 割は「1 着が誰か」で説明できる。
- 万舟製造機トップは 6-5-4(万舟率 51.6%) ─ 上位は 6-5 系・5-6 系が独占。1〜4 号艇頭の出目は平均配当ランキングに 1 つも入らない。
- 最頻出 1-2-3 は平均 1,609 円 ─ 全体の 4.9% を占めるが、万舟率 0.9% でトリガミ常連。「よく出る出目」と「配当が高い出目」は正反対。
- 1 号艇頭でも 2・3 着が外なら荒れる ─ 1-6-x は万舟率 19.7%。中波乱は「イン頭 × 2・3 着が外」という組合せで生まれやすい。
- 歴代最高は児島 6-1-5 = 761,840 円 ─ 25 年・110 万レースの頂点もやはり「6 頭」だった。
だが「どの出目がいくら付くか」は、110 万レースが教えてくれる。
データに関する注記
- 対象は 2001-2026 年の 3 連単 1,096,231 レース(BOATCRAFT データベース、全国の確定払戻記録)。返還・不成立など出目が 3 連単形式にならないレコードは除外
- 2026-07-11 更新:レース番号 R10-12 の払戻データが 2026 年 6 月に大量整備され、対象レース数が約 97.6 万→109.6 万に増加。これに伴い各種平均・万舟率・上位出目の順位(平均配当ランキング2位・3位、最頻出コンビ12位)を最新値に更新した。歴代最高配当TOP3(児島6-1-5/徳山4-5-2/三国6-3-5)はR9以内のレースのため変動なし
- 「平均配当」は実際に出た決着の払戻金の平均であり、予想の的中率や回収率とは別物。出目の出現確率(=当たりやすさ)とオッズ(=配当)は表裏一体で、配当が高い出目ほど出にくい
- 全国 24 会場の合算値。会場ごとに「頭が外に飛ぶ確率」は大きく異なるため、会場別の傾向は 24 会場ガイド を参照
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- 24 会場ガイド ─ 会場別の荒れやすさ
検証データ:2001-06-16 〜 2026-07-10、3 連単 1,096,231 レースの確定払戻(BOATCRAFT データベース、全国 24 会場)/ 集計指標:出目別の出現回数・平均払戻・万舟率(1 万円以上)・超万舟率(10 万円以上)/ 最終更新:2026-07-11