1 マークでの順位が決まらず、2 マークやバックストレッチの道中で先行艇を追い抜いて先頭に立つ競艇の決まり手。 まくり・差しが 1 マークで完結する戦法だとすれば、抜きは 1 マーク以降の総合力勝負。直線スピードと操舵技術、そして冷静な判断力が問われる。
抜きとは、1 マークの旋回で勝負が付かなかった局面から、2 マークまでの直線、2 マークでの旋回、あるいは 2 周目以降の道中で先行艇を追い抜いて 1 着になる競艇の決まり手です。 JLC・BOATRACE 公式が採用する 6 種の決まり手 (逃げ・差し・まくり・まくり差し・抜き・恵まれ) のうちの一つで、発生比率は全体の数 %とごく少数派に位置づけられます。
まくりや差しが「1 マークの旋回時点で先頭交代する」のに対し、抜きは1 マークでは先頭を奪えなかった艇が、その後の展開で逆転するという時間軸の違いが本質。 機力 (特に伸び足) と道中の操舵が両立した時にのみ成立し、6 つの決まり手の中でも玄人の見せ場として語られます。
なお、用語としての「抜き」は「追い抜き」を縮めた呼び方で、由来はそのまま動詞の連用形。記者や実況も「2 マーク抜き」「道中抜き」のように発生位置を補足して使うのが一般的です。
抜きは「1 マークで決め切れなかった結果として発生する」性質上、事前に狙って組み立てるのが難しい決まり手です。 とはいえ、過去のレースを振り返ると共通する 4 条件が浮かび上がります。
抜きの発生率は会場ごとの水面構造と強い相関があります。 2 マークの広さ、バックストレッチの長さ、風向きの影響を受けやすい構造の会場では、1 マークで決まらないレースが増え、結果として抜きの比率が上がります。
抜きは「いつ追い抜いたか」という時間軸で他の決まり手と区別されます。 1 マーク以前に決着するのが差しとまくり、1 マーク以降に決着するのが抜き。同じ「外艇が内艇を抜く」絵面でも、決まり手の名前が変わるのはこのためです。
| 抜き (Nuki) | 差し・まくり | |
|---|---|---|
| 決まる位置 | 2 マークまでの直線・2 マーク旋回・道中 | 1 マークの旋回中に決着 |
| 必要な機力 | 伸び足 ─ 直線でじわじわ差を詰める力 | 出足・まわり足・伸び足の総合力 (1 マーク勝負) |
| 選手の見せ場 | 道中の操舵、2 マーク攻め、終盤の集中力 | スタート、進入、1 マークの旋回精度 |
| 発生比率 | 全体の数 %と少数派の決まり手 | 逃げ・差し・まくりで全体の 9 割超 |
| 配当傾向 | 本命艇が抜けば中配当、伏兵が抜けば高配当に振れる | 戦法・コースで配当帯が大きく変わる |
抜きはレース単位で見ると発生比率が低いため、戦法そのものをピンポイントで予測対象にするのは現実的ではありません。 BOATCRAFT では「抜きが起きやすい構造のレース」を間接的に評価する形で、4 モデルブレンドに反映しています。
「機力つまみ」を上げる ─ モーター 2 連率と展示タイムを重く見ることで、伸び足型のモーターを引いた後続艇の評価が上がる。抜きの種を仕込んだレースを浮かび上がらせる。
「会場特性つまみ」を意識する ─ 桐生・鳴門・戸田のような道中決着が増える水面では、1 着率の偏りを補正して中位艇の評価を引き上げる。
「直近フォームつまみ」を上げる ─ 終盤の操舵が安定している A1 級・A2 級の評価を強化。3 周のレースを最後まで攻め切る選手を予想に厚く反映する。
抜きは競艇の決まり手の中でも玄人の見せ場。100 を超える専門用語を 12 カテゴリで整理した用語集で、競艇予想の解像度を上げてみてください。