モーターは「抽選」で配られる
競艇のモーターは、選手が選ぶものではない。開催の初日前に行われる前検(ぜんけん)日に、抽選で各選手へ割り当てられる。そしてモーターには、機械である以上どうしても個体差がある。よく回る"当たり"のモーターもあれば、伸びない機もある。だから「どのモーターを引いたか」自体が、その節(開催)の成績を大きく左右する。
ここで一つ、勘違いしやすいポイントがある。「エースモーター(強い機)を引けば勝てる」わけではないということ。BOATCRAFTの検証では、最強クラスのモーターでも1着率は2割ほどにとどまり、機力が効く会場と効かない会場の差も大きかった。モーターは"下駄"にはなるが、履きこなすのはあくまで選手だ。→ エースモーターは買いか
ペラは「借り物」を仕上げる ─ 持ちペラ制度の歴史
プロペラ(ペラ)をめぐる仕組みは、実は2012年に大きく変わっている。かつては「持ちペラ制度」──選手が自分専用に削り込んだプロペラを持ち込んで使える制度があった。1989年(平成元年)に始まり、選手それぞれの"ペラ修整技術"が走りを大きく左右する、職人的な時代だった。
だがこの制度は2012年(平成24年)4月に廃止。理由は、モーターと選手の持ちペラのマッチングが複雑になりすぎ、予想が極めて難しくなったことなどが挙げられている。現在は、モーター1基につきヤマト製とナカシマ製のペラが1枚ずつ配備され、選手が好きな方を選んで使う。そして、その貸与ペラを開催期間中に自分で調整して仕上げていく。
削る・叩く・角度を変える ─ 整備が走りを変える
選手は与えられたモーターとペラを、削る・叩く・角度を変えるといった微調整で仕上げる。その一手で、スタートの伸び(出足)、直線の伸び(行き足)、ターンの伸び(回り足)が変わる。同じ機材でも、この"見えない作業"の精度が、レースが始まる前にもう差をつけている。だから競艇は「レース前から勝負が始まっている」と言われる。
それでも走りが変わるのは、仕上げる腕があるから。
出走表の「モーター2連率」をどう読むか
この"仕上がり"を読むための手がかりが、出走表に載るモーター2連率(そのモーターが2着以内に入った割合)だ。数字が高いモーターは、今節よく仕上がっているサイン。ただし数字だけを鵜呑みにはできない。狙い目は、整備の上手い選手が、調子の上向いてきたモーターに乗ったとき──ここに一発の予兆がある。
BOATCRAFTでは、このモーター2連率を選手の"今の調子"と一緒に読めるようにしている。機械の数字と、それを扱う人の状態。両方を重ねて初めて、機力は予想に効いてくる。
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- 競艇 エースモーターは買いか(最強機でも1着率2割の現実)
- 検証ラボ #06 ─ モーター2連率「40%は強い」は神話か(47万レースで検証)
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- 用語集(出足・行き足・回り足・モーター2連率)
— 参考・出典 —
- 持ちペラ制とは・廃止(2012年)の経緯
- モーターに個体差が出る理由
- BOAT RACE オフィシャル ビギナーガイド
- 機力の検証: BOATCRAFT 検証ラボ #06(約47万レース)
このコラムについて: 競艇の基礎知識シリーズは、初心者にも分かるように競艇の「仕組み」を解き明かす記事です。/ 公開: 2026-07-01