「番手は有利」「競走得点が強い」——競輪で語られる定石を、2021年以降の自前データで一つずつ検証する。感覚ではなく、実データで。
競走得点・勝率・人気——予想の出発点になる数値指標を検証
予想の出発点とされる競走得点。7車立て10万レースで、順位ごとの1着率を並べてみた。
競走得点1位と2位の点差が開くほど、得点1位選手の1着率は段階的に上がる(差2点未満32.26%→差8〜10点59.40%)。
レース内で勝率1位と得点1位が食い違う時、実際の1着率は得点のみ1位の方がわずかに高い。両方一致だと52.29%まで上昇。
得点1位とライン先頭が同じ選手に重なると1着率46.20%。得点1位のみ30.49%、ライン先頭のみ15.43%——単独条件より明確に高い。
得点1位選手の1着率を等確率基準からの倍率で見ると、G3が3.16倍で最も高く、G1は2.60倍。効き目はグレードが上がるほど弱まる。
競輪は個人戦であり団体戦——隊列のどこにいるかで結果はどう変わるか
ラインの2番手は有利とよく言う。だが「勝率」で見るか「連対率」で見るかで答えが変わる。
7車立てで6番の1着率だけが谷になる。犯人は車番ではなく"座らされる位置"だった。
単騎の先頭は1着6.8%、5人ラインの先頭は67.4%=10倍。4人ラインは78.5%で1着を出す。競輪は"ライン"の争いだった。
四分戦(ライン4本)に絞っても、先頭の1着率は単騎7.28%→2車18.01%→3車33.54%→4車56.83%と階段状に上がる。
2車ラインの先頭選手の1着率は、その選手自身の得点順位で大きく変わる。格上30.66%、格下7.06%——差は4倍以上。
先頭の1着率は「地区も違う」ラインが最も高く、「同県」ラインが最も低い。同郷だから強いとは言えなかった。
番手の2連対率は2車ライン21.15%、3車ライン45.92%。同じ「番手」でも、ラインの人数によって価値は倍以上違う。
B回数の平均は先頭7.86、番手0.65、3番手0.24。B回数はほぼ「先頭を務めた実績」そのものだった。
疑似人気1位の1着率は、ライン先頭なら49.90%、番手以降なら41.33%。同じ人気1位でも約8.6ポイント変わる。
逃げ・追込・自在——走り方の違いは、結果にどこまで表れるか
Bはバックを取った回数。男子7車立ての延べ出走データでB0の8.9%からB10+の27.2%まで綺麗に単調増加。しかもB数は"勝ち方"まで映す。
脚質で1着率は3倍差。逃げ24.3%・両15.2%・追込8.7%。だが逃げは着外47.6%の諸刃。得点1位に揃えても逃げ51.0%対追込28.2%=主導権は実力と別。
脚質「逃」の1着率は若手(23歳以下)34.67%、ベテラン(38歳以上)17.51%。若手はベテランのほぼ2倍逃げ切る。
333m・400m・500m——走路の長さが変えるもの、変えないもの
短走路は逃げ、長走路は差し——周長ごとに「どう決まるか」を全場で集計。
333m・400m・500mのどのバンクでも、ライン人数が多いほど先頭が勝ちやすいという傾向は共通していた。単騎→2車→3車の並び順はどの周長でも変わらない。
年齢・地元・級班・休養・ギヤ比——選手個人のプロフィールが効くのはどこか
24歳以下は1着33.9%=50代の5.7倍。しかも"点数が低いのに"一番勝つ。地力を揃えても若さは効いた。
地元は1着18.1%、非地元14.0%。平均競走得点はほぼ同じ=実力でなく地の利。しかも得点1位に揃えると地元47.1%対38.1%=強者ほど地元が効く。
S1とA1、1着率はまさかの同率18.3%。延べ出走データで級班と競走得点の交絡を解くと、A2の得点上位がS1の得点下位を上回った。
休養は29日までなら1着率はほぼ横ばい。30日を超えたあたりから徐々に下がり、60〜89日では8.08%まで落ちる。
脚質別の平均ギヤ比は3.911〜3.915とほぼ同じ。全体の7割超が同じ「3.92」を使い、使い分けは見られなかった。
ガールズ競輪の得点1位選手の1着率は63.31%。同じ集計を男子で行うと38.50%。ラインがない分、得点がより直接効く。
開催日程や車立て数といった「レースの枠組み」自体が結果を左右するか
得点1位選手の1着率は初日42.7%→2日目37.6%→3日目34.9%。開催が進むほど、本命は堅くなくなる。
9車立ての2車ライン先頭の1着率10.53%は、等確率基準11.11%を下回る。ラインの効果は車立てが増えるほど薄まる。
集計データはKEIRINCRAFTデータベース(2021年〜の全レース実績)。ガールズ競輪を除く男子7車立てを基準に集計しています(#26・#27は対象範囲が異なります。詳細は各記事参照)。
数字は過去の傾向であり、将来の結果や的中を保証するものではありません。